- 次世代ディスプレイは立体表示か
立体表示ディスプレイが活況を呈している。先に行われたCEATEC(最先端IT・エレクトロニクス総合展)では、家電メーカ各社が3次元表示型のディスプレイのデモンストレーション展示を行っていた。その後もソニーが360度から見られる3次元立体像表示装置を発表するなど、ここにきて立体表示ディスプレイがニュースになることが多くなってきている。これまでディスプレイはフルハイビジョンや4倍速表示などといった高画質化が訴求の中心であったが、次なるエンターテイメント性として立体表示が中心に据えられる可能性が見えてきた。
次世代ディスプレイの要になる可能性のある立体表示技術であるが、その開発動向はどうなっているのか。弊社XLUSを用いて立体表示ディスプレイに関連する技術開発動向とプレイヤーを特許をもとに抽出した。検索では立体視や立体表示、3次元表示とディスプレイや表示機器に関するキーワードを要約あるいは請求項に含む特許を抽出・分析した。
立体表示ディスプレイに関連する特許公開件数の推移(図1)を見ると、2004年から2006年に公開件数のピークを迎えており、その後は減少傾向にある。なお、2009年に関しては9月時点での公開件数となっている。2004年に公開件数が突出しているが、これはこの年にソフィア(遊戯機メーカ)からの特許が集中して公開されたことが一因となっている。 マクロな技術トレンドを見ると、2001年以降の技術開発では大きな変化はなく、立体表示ディスプレイの技術開発そのものは飽和あるいは停滞に向かっている可能性がある。

図1.立体表示ディスプレイに関連する特許公開数の推移
立体表示ディスプレイに関連する主要なプレイヤーを見ると、三洋電機、シャープ、日本電信電話、キヤノン、東芝、ソニー、日立製作所などが出願件数で上位となっている。日本電信電話とキヤノンを除いて主要プレイヤーはいずれも家電メーカである。三洋電機、シャープ、ソニー、キヤノンの技術開発領域の俯瞰結果を図2に示す。各社とも比較的類似した領域での技術開発を行っており、技術開発の競合度は高いものと推定される。興味深いのは、家電メーカではないキヤノンの開発領域が他の家電メーカと類似していることである。実際にキヤノンから出願されている特許を見ても、立体表示装置といった名称を持つ特許が多数出願されている。

図2.立体表示ディスプレイの主要各社の出願領域(1993~2009年)
立体表示技術に関しては、眼鏡等の補助器具を利用する仕組みとしてアナグリフ方式や液晶フィルタ方式など、また裸眼で立体視する仕組みとしてオートステレオグラムやサイドバイサイド方式など、多数の方式が考案されている。また今回の分析結果では特許出願は飽和傾向にあり、一定レベルの技術開発が終了している可能性を示唆しているものと考えられる。一方で立体表示ディスプレイを生かすためには、表示するコンテンツが重要となる。そのため、今後の立体表示ディスプレイの行方はコンテンツ開発に依存することが予想される。その意味ではゲームや映画等のソフト事業を有するソニー、あるいはデジタルカメラやビデオ等撮像機器(広い意味でのコンテンツ)を保有するキヤノンといった企業の今後の動向が注目される。
以上


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