住友金属工業は(5405)、2009年7月、燃料電池用金属セパレータの量産技術を確立したと発表した。
固体高分子型燃料電池は、現在、カーボンを利用したセパレータが主力であるが、本技術はそれよりも低価格での生産を可能としており、実用化されれば、燃料電池のコスト削減に寄与する物と期待される。
燃料電池用のセパレータについては、住友金属工業のようにセパレータの製造・販売を主体としている企業と、それらを用いて燃料電池の製造を行っている企業とが存在する。各企業毎の思惑はあるのだろうか?
弊社XLUSを用いて燃料電池のセパレータに関する記述が含まれる特許を俯瞰すると、耐食性に関する技術開発と、強度向上に関する技術開発に大別される。金属セパレータでは耐食性に関する技術開発が、炭素系セパレータでは強度向上に関する技術開発が行われており、それぞれ技術開発の方向性、課題を抱えていると言える。
素材メーカーについてみてみると、炭素系セパレータでは日清紡績(3105)、DIC(4631)、東海カーボン(5301)の出願数が上位になり、金属セパレータでは日新製鋼(5407)、大同特殊鋼(5471)の出願が上位となる。
燃料電池製造メーカーでは自動車メーカーの出願が目立ち、ついで、電機メーカーの出願が見られる。
自動車メーカーは炭素系セパレータ及び金属セパレータの両方に対する出願が見られるが、金属セパレータに対する出願が多い、又は、近年の出願に金属セパレータの割合が高い傾向が見られる。
例えば、日産自動車(7201)の場合、全体としてはカーボン系セパレータに関する特許が多いが、近年に関しては金属セパレータの出願が多い。特に2008年以降で見ると、多くは金属セパレータに関する特許である。トヨタ自動車(7203)の場合、1999~2003年にかけて日新製鋼と共同で金属セパレータの出願を数多く行っている。また、2008年以降の出願については多くが金属セパレータに関連した特許である。本田技研工業(7267)の場合、金属セパレータの特許が多い。昭和電工と共同で炭素系セパレータの出願がされているものの、件数は少なく(本母集団中2件)、中心的な研究開発テーマとはなっていないと想定される。
電機メーカーでは、パナソニック(6752)の出願が見られる。炭素系のセパレータに関する出願が多く見られるが、金属セパレータの腐食防止に関する特許の出願も行われている。
このことから、素材メーカーは自社の得意な素材を用いたセパレータの開発を行い、燃料電池の製造メーカーはメインとなる素材を定めつつ、他の素材に関しても開発を続け、よりよい特性を持ったセパレータを利用する方針であると考えられる。

セパレータに関する俯瞰図