ハイブリッド自動車の電池はニッケル水素?リサイクル技術は?
[(2009年5月13日発信)]
昨今の原油価格の高騰や環境問題への意識の高まり、そしてエコカー減税を要因としてハイブリッド自動車が売れている。今年2月に発売されたホンダのインサイトは発売当初から人気を博し、4月には国内新車販売で首位に立った。これまでハイブリッド車市場では独壇場であったトヨタは5月中旬に新型プリウスを市場投入する。
2009年になって新たに登場した2種のハイブリッド車であるが、両者で共通しているのは、バッテリーとしてリチウムイオン電池ではなくニッケル水素電池を搭載していることである。電池性能だけを見れば、出力密度やエネルギー密度、あるいはメモリー効果の有無など、リチウムイオン電池のほうが圧勝である。しかしホンダ・トヨタともにリチウムイオン電池を搭載せず、従来から用いられてきたニッケル水素電池を搭載したのは、安全性の問題のみならず電池コストも影響していると考えられる。
ニッケル水素電池とリチウムイオン電池のコストはどの程度違うのか。資源エネルギー庁の資料(蓄電池技術の現状と取り組みについて、平成21年2月)によれば、参考値としてニッケル水素電池が10万円/kWhであるのに対し、リチウムイオン電池では20万円/kWhと倍のコストが見積もられている。HEV用バッテリーでは比較的大きな容量が必要となるため、このコストは影響が大である。ホンダのインサイトでは5.75Ahの容量のバッテリーが、現行プリウスでは6.5Ah(ともに3時間放電率)のバッテリーがそれぞれ搭載されている。
ところで、リチウムイオン電池に比べれば安価であるニッケル水素電池といえども、ニッケルや希土類などの高価な金属材料を利用していることには変わりない。ニッケル水素電池を搭載したハイブリッド自動車が大量に販売されると、そこで利用されている有用物の効率的かつ低コストな回収が不可欠となる。そこで、ニッケル水素電池のリサイクルに関連する技術開発情況をXLUS Greenを用いて分析を行った。ここでは、ニッケル水素、電池、リサイクルなどの言葉を含み、燃料電池や光化学といった言葉を含まない特許を概念検索によって100件集めている。
関連特許の公開年次を見ると、1997年から1998年に1つ目のピークが、ついで2003年から2004年に2つ目のピークがある。その後、2007年にかけて増加傾向にあるものの、特許出願は落ち着く傾向が見て取れる。レーダー図を見ると、ニッケル水素電池からの有用物質回収に関しては三井金属鉱業と住友金属鉱山が競合していることが分かる。そのほかにも株式会社三徳やトヨタ自動車、東芝、松下電器(現パナソニック)などからも出願されている。また外資系ではヴァルタバッテリー(ドイツ)からの出願もある。一方でリサイクルしやすい電極構造などに関しては、三洋電機やパナソニックといった電池製造メーカからの出願が見られる。また電池メーカではないが、川崎重工業からもリサイクル性の高いニッケル水素電池に関する特許が出願されている。川崎重工に関しては、大阪瓦斯との共同出願となっている。
ハイブリッド自動車は、将来的にはプラグインハイブリッド、そして電気自動車と、大容量を要する方向になることは間違いない。しかしリチウムイオン電池の安全性の確立や低コスト化、あるいは電気ステーションといったインフラ整備の進み方によっては、当面ニッケル水素が主役であり続ける可能性も否定できない。その場合、低コストかつ高効率なリサイクル技術に関心が集まる可能性がある。


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